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2024.3.15

AIがいたら通訳はなくなる?

中国の人材紹介派遣業トップ企業と日本の有識者との会談通訳を担当させていただきました。

10年を超える現場通訳経験の中で、初めてお客様が即時に通訳できるソフトと機械をテーブルに並べられ、驚いたお話をさせてください。

即時通訳機を目の前にしての通訳

小規模会議の通訳は基本的に逐次通訳になり、話者が話し終わってから通訳するのが一般的ですが、即時通訳のソフトは通訳する前に、すでに訳文が表示されます。中国のお客様は常に表示されている訳文と通訳を照らし合わせることになり、大変、緊張感のある時間になりました。30分延長し2時半に及ぶ会談が無事終了し、お客様からは通訳についてお褒めのお言葉をいただき安心しております。

“AIがうまく稼働しているようなので、もう通訳が必要なくなる日も遠くないですね”
と申し上げたところ、
“いや、そんなことはないです。AIを通してある程度相手の話は理解できますが、私たちの言いたいことを相手に伝えるのには通訳が必要ですし、【人間】が間にいるだけで親近感が断然違います。”
この言葉に納得しました。

AIができること・人ができること

確かにAIは文字を表示し音声で相手に言葉を伝えることが可能です。買い物や病院での簡単な通訳はAIでも事足りるかもしれません。

しかし、ビジネス会議となると、言葉の裏にある意味を解釈して訳したり、場合によって相手の発言をそのまま訳さず、差し支えない言葉に置き換えたほうが良い時もあります。

当社では、事前にお客様に達成したい目標をお聞きし、その方向に持っていけるような通訳をいつも心がけています。例えば、中国のお客様の質問に正面から答えてくれない方には、追加の質問をしたり、明確な数字をお聞きしてから通訳するなど、お客様の立場に立つように努めております。

こうした心遣いは人間だからこそできるものだと思うのです。
通訳の仕事がなくなる日が来るのかもしれませんが、人が言葉で思考し感情を伝える生き物である以上、しばらくはなくならないと感じた出来事でした。

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